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アンチエイジングおよび自費診療

ビタミンAとビタミンD

2015.11.26

脂溶性ビタミンの代表格であるビタミンAとビタミンDは、その働きが近年ますます注目を集めています。そこでビタミンAとビタミンDの吸収・代謝、さらには効果を発揮する作用機序を改めて見直してみます。

ある先生からのご質問

先日、セミナーにご参加いただいた先生お二人から、「ビタミンDを摂取するとビタミンA欠乏になるって本当なの?」というご質問をいただきました。臨床の場でも最近よく利用されるビタミンDですが、ビタミンA欠乏様の症状(ニキビや夜間の視力低下)がまれに見受けられることがあるようです。そこで、もう一度この両ビタミンの吸収・代謝、さらには作用を発揮するための作用機序について調べてみることにしました。

吸収と代謝

ビタミンA(以下VA)やビタミンD(以下VD)は脂溶性ビタミンであり、食事由来の脂肪酸や胆汁酸と混ざり合って体内に吸収されます。吸収率が10%程度といわれるβ-カロテンは、油で調理すると吸収率が50%まで高くなるという話からも、吸収には脂肪酸が必要であることが分かります。小腸で吸収されたVAやβ-カロテンは、大きく分けて2つの流れで代謝されます。

  1. カイロミクロン(Chylomicron)と呼ばれる脂質輸送体に取り込まれ各臓器に輸送される経路
  2. 小腸上皮細胞内で VA(Retinol)や β-カロテンはレチナール(Retinal)に代謝されたのち、さらにレチノイン酸(Retinoic acid)に代謝される経路

VDは、VAと同様にカイロミクロンに取り込まれ肝臓に運ばれたのち、25ヒドロキシコレカルシフェロール(25(OH)D3)になり、さらに腎臓に運ばれカルシトリオール(1,25(OH)2D3)へと代謝されます。実は、代謝されたレチノイン酸やカルシトリオールが生体内で作用を発揮するうえで最も重要な化合物です。

核内受容体とは

食物から摂取したVAやVDは、上記のような代謝を受け、本来の姿とは異なる形に変化します。ではなぜこのように変化する必要があるかというと、VAやVDが体内で有効性を発揮するためには、細胞の核に存在する核内受容体(nuclear receptor)と結びつかなければならないからです。核内受容体には、レチノイン酸と結びつくレチノイド受容体(RAR)やレチノイドX受容体(RXR)が、カルシトリオールと結びつくVD受容体(VDR)、また脂肪酸と結びつくペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)などが存在しています。

レチノイン酸はRARやRXRと、カルシトリオールはVDRと結びついたのち、DNAに直接接着し、DNAの転写やタンパク質の合成をコントロールし、生体内での様々な遺伝子の発現を調節しています。

上記図のように、レチノイン酸(VA代謝物)とカルシトリオール(VD代謝物)は結合する核内受容体が異なるので、VDを摂取すると核内受容体が塞がってしまってVAが結びつくことができない、ということはありません。

VDによるVA吸収阻害

ではなぜ、VDを摂取するとVA欠乏様症状が見受けられるのでしょうか。事実、社内ボランティアによるVD3 摂取試験を実施した際、2名(1,000IU摂取1名、5,000IU摂取1名)に軽度のニキビの発生が認められました。

前述のように核内受容体の競合によるものとは考えられないので、可能性としては小腸でVAの吸収が抑制されてしまったためではないかと推測されます。実際、VDRが活性化すると胆汁酸の生合成や腸肝循環が抑制されるといわれており、一時的に胆汁酸が減少しVAの吸収が抑制され、欠乏様症状が発生したのではないかと思われます(平成22年浜松医大学位論文より)。

逆にVAを摂取しすぎると、体内カルシウム濃度が減少することもわかっており、VA受容体の活性化によりVDRの作用が抑制されたのではないかと思われます(J. Nutr. 135: 1647?1652, 2005.)

その他の要因

VD摂取とVA欠乏様症状の因果関係は上記のようなことが可能性として示唆されますが、VA欠乏には小腸での吸収に関与する酵素BCMO1(β-carotene15,15’-monooxygenase)の遺伝子変異により、低VA状態になることが示されています(J. Nutr. 137: 2346?2350, 2007.)

対処法

以上のように、VDを摂取することによるVA欠乏様症状に対しては、食事由来の脂肪酸とともに摂取すると吸収が促進されるので、良質の脂肪酸(オメガ3系脂肪酸など)と一緒に摂取することが望ましいといえます。

(2014年2月ヘルシー・パス提供)

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