2012.07.20
2012年4月、消費者庁が発表した「食品の機能性評価モデル事業」において、様々な健康食品の機能性について海外、国内の文献を調査した結果、総合評価が最も高く、再注目されている成分に「オメガ3系脂肪酸」があります。
脂肪の中には、私たちの体内で作ることができず食べ物から摂らなければならない必須脂肪酸があり、その代表がオメガ3系とオメガ6系の脂肪酸です。オメガ3系脂肪酸には、α-リノレン酸、EPA、DHAなど、オメガ6系脂肪酸には、リノール酸、アラキドン酸などがあります。
現代人の食生活では一般的な植物油や動物の脂に含まれているオメガ6系脂肪酸は摂りすぎが心配なほどですが、食の欧米化や魚食の機会が減ったことなどから、オメガ3系脂肪酸の摂取が減り、両者のバランスが崩れてしまっています。
脂肪酸は生理活性物質の原料になります。オメガ6系脂肪酸から作られる生理活性物質は、免疫反応を激しくするほか、心血管系の病気を増やし動脈壁にプラークを作って血栓を形成しやすいと言われています。一方、オメガ3系脂肪酸であるα-リノレン酸からは EPA が作られ、そこから炎症抑制系の生理活性物質が生成されます。
実はこれら生理活性物質が生成される過程では、下記の図のように共通の酵素が働いています。そのため、普段の食生活で不足しがちなα-リノレン酸や EPA を補うことで、炎症促進系の生理活性物質の生成が相対的に減り、炎症をマイルドにすることが期待されています。
EPAは動脈硬化抑制に働くといわれています。
一方、オメガ6系脂肪酸のアラキドン酸(AA)は炎症を引き起こし、動脈硬化を促進する面ももっています。動脈硬化性疾患の患者では、この EPA/AA 比が低い(血中のEPAが低い)ことが報告されています。
植物油の中で、α-リノレン酸を多く含んでいるものは、多くありません。身近で手に入れることが可能なものは、シソ油(エゴマ油)や亜麻仁油などで、高級スーパーや自然食品コーナーなどに置いてあります。
また、EPA・DHA はイワシ、サバ、マグロなどの青魚の魚油に多く含まれていることから、これらの魚を意識的に摂取することで補給できます。
亜麻は中央アジア原産の1年草で、亜麻の種子を亜麻仁、種子から得た油を亜麻仁油と呼びます。ドイツのコミッションE(ドイツの薬用植物の評価委員会)は、慢性の便秘、緩下剤誘発性結腸障害、過敏性腸症候群、腸炎、憩室炎に対するアマニの使用を承認しています。
※国立健康栄養研究所「健康食品」の素材情報データベースより
EPAとDHAの含有比は、魚種によっても異なり、イワシにはEPAが多く、マグロにはDHAが多いとされています。
EPA や DHA は、海外でも評価されており、心血管疾患リスク低減、血中中性脂肪低下作用、血圧改善作用、うつ症状の緩和と発生率低下などに効果が期待されています。とくに EPA は、動脈の弾力性保持、血小板凝集抑制・血清脂質改善などの作用により、動脈硬化病変(AS)の進展を抑制する医薬品としても利用されています。
亜麻仁油は変質しやすいので、低温圧搾方式で搾ったものが良いといわれています。低温圧搾方式は、化学的な溶媒を使用せず加熱も行わないため、もっとも安全で、上質の油を搾ることができる方法です。また、亜麻仁油や魚油などの天然原料は安全性データにも注意が必要です。とくに、ヒ素、重金属、残留農薬についての試験は重要です。
参考: 持田製薬 http://www.mochida.co.jp/dis/medicaldomain/circulatory/epadel/info/(2012年7月ヘルシー・パス提供)
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