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論文紹介LUCUBRATIONS

第12回ベストラウンドテーブル賞を受賞して

2014.09.24
更年期と加齢のヘルスケア 13(1):232-233, 2014.
満岡孝雄(みつおかたかお)
医療法人社団 満岡内科・循環器クリニック

2013年10月27日、河端恵美子会長のもと、帝京平成大学池袋キャンパスで行われた、第12回 「更年期と加齢のヘルスケア学会」学術集会において、「男性更年期障害」の演題で、ベストラウンドテーブル賞を受賞した。

当日のラウンドテーブルディスカッション(以下RTDと略す)には、私を含め19の演題が取り上げられた。数多い演題の中から受賞させていただき、光栄であると同時に、河端会長、小山嵩夫理事長、および選考委員の方々に心より感謝を申し上げたい。

女性更年期がテーマの本学会において、男性更年期障害がどの程度の関心をよぶか、当日まで不安であった。北海道支部の方々には、当日の参加申込用紙に記名者が少ないようであれば、参加してくれるように、もし多いようであれば、次回の北海道支部勉強会で同じテーマをとりあげるので、他の方々に譲ってほしいと事前にお願いしておいた。後日、北海道支部会員から聞いた話では、参加申込用紙が出されて間もなく、12名の記名枠は満たされ、申込用紙は早々に引き上げられた、ということであった。本番で申込用紙を見たが、欄外にも記名された方もいた。座席の関係で12人の参加者でRTDをスタートした。

RTDで話した内容および質疑は、本誌の「男性更年期障害」に詳細に記したので、そちらを読んでいただければと思う。

本学会で、以前にも男性更年期障害が何度かとりあげられていることを後で知った。多分、その頃は男性更年期そのものが社会的にも十分に認知されていない時で、一般の方々の関心も薄かったに違いない。その点、早い段階から男性更年期を問題にされていた小山理事長はじめ、本学会の幹部の方々の先見性に目を見張る。

私が男性更年期障害に関心をもったのは、2005年頃からである。専門は循環器内科であるが、開業医として重要なことは、病気予防の患者教育であると感じていた。2003年に日本抗加齢医学会が、米国に遅れること10年で発足した。究極の予防医学であるアンチエイジング医学を日本にも普及したいと、小さな学会であったが熱気にあふれていた。学会は昨年で発足後10年目となり、会員数は今や8000人にならんとしている。この分野の関心が高いことがうかがえる。

従来の日本の医療は診療科毎の縦割り医療であった。アンチエイジングに関心のある人たちは診療科の枠を超えて横断的にこの学会に参加した。卒業以来、学ぶ機会が少なかった他科のことを、この学会で多く学ぶことができた。得られた情報はまさに明日からの患者教育に即役立つものであった。

そんな中、アンチエイジング医療のためには、ホルモン補充療法をマスターすることが必要であることに気付いた。札幌医大名誉教授の熊本悦明先生は、日本における男性学のパイオニアであり、すでに80歳を過ぎられているが、日本メンズヘルス医学会理事長として今なお第一線で活躍されている。また、日本抗加齢医学会北海道研究会を主宰され、毎年札幌で講演会と市民公開講座を開催され、今年で10回目を迎える。熊本悦明先生を擁する北海道は、男性更年期障害を学ぶ上で、この上ない環境にあると言える。私の男性更年期障害の知識は、ほとんど熊本先生から学んだものである。本学会の小山理事長を知ったのも、北海道研究会に講師として来られた時であった。その縁で本学会に入会し、女性更年期障害について学んできた。男女のホルモン補充療法についてわからないことは、二人の大家にその都度教えてもらった。今回の受賞は、まさにお二人のお陰である。

最近、熊本先生は、男性更年期障害についての啓蒙書を書かれた。男性更年期障害について理解を深めたい方は、ぜひご一読をお勧めしたい。

熊本悦明著「男はなぜ女より短命か—テストステロン低下症が引き起こす男の動脈硬化・メタボリック症候群—」実業之日本社 2013年

最後にエピソードを一つ。学会当日、RTDを16時40分きっかりに終了し、17時50分発の帯広への最終便に乗るために羽田に急いだ。手荷物検査場に着いて係員に聞くと、機はたった今飛び立った、とのことであった。がっくりきたが、明日の診療のこともあって、札幌まで飛び、JRに乗り換えて、家に着いたのは夜12時近くであった。数日後、河端会長からメールで受賞の知らせがあった。少々疲れも残っていたが、思わぬ受賞の知らせに、それも吹き飛んだ。後日、学会事務局より賞状と記念品が贈られてきた。ここに掲載した写真はスタッフに院内で撮ってもらったものである。

> ベストラウンドテーブル賞を受賞(2013.12)