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高齢男性(60歳以上)に対する自費診療での男性ホルモン補充療法

2022.10

男性ホルモン補充療法を自費診療で希望される方は、当クリニックにお電話(0155-48-9111)でお問い合わせください。

60〜70歳以降の男性の元気について院長論文抜粋

60〜70歳以降の男性の元気について考えてみたい。40〜50代を男性更年期と呼ぶことについては、異論はないと思われる。ただ男性の場合、男性ホルモン(FT)のレベルには個人差があり、60代でも若い男性と同じレベル(約20pg/ml)を維持している人もあれば、男性加齢性線機能低下症候群(LOH症候群)、いわゆる男性更年期障害と診断される8.5以下の低値を示す人もいる。しかし平均的な日本人のFT値は、20〜30代をピークに徐々に減少し、50歳以降はその傾斜は急峻になることが知られている。

40〜50代の男性更年期におけるFTの低値には、ストレスが大きく関与しており、脳下垂体から分泌されるLH、FSHなどの性腺刺激ホルモンは低値を示す。

一方、60代以降の男性では、ストレスよりは加齢に伴う精巣機能低下が男性ホルモン(FT)低下に関係することが多くなる印象である。この場合、FSH、LHなどの性腺刺激ホルモンは、基準値よりも高値を示すことになる。

最近、札幌医科大学の熊本悦明名誉教授は「熟年期障害〜男が更年期の後に襲われる問題〜」という本を上梓された。その中で、男性ホルモン(FT)低下により元気をなくした60〜70代の男性に対して男性ホルモン補充療法を考えるべきである、という提言をなされている。私もこの提言に賛同する。

75歳から高齢者とし、それまでは現役世代として働いてもらうという少子高齢化社会における70代の役割は、日本社会において大きいと思われる。その年代の人々に活力、元気を与え、労働力として頑張ってもらうためには、もちろん身体的なサポートも必要ではあるが、メンタル面でのサポートも重要である。男性ホルモン(FT)の低値によって元気がなくなっている高齢者に対して男性ホルモン補充療法を積極的に考えてもよいように思う。

先にも述べたが、日本では男性ホルモン補充療法の製剤としては、エナルモンデポーが使える。エナルモンデポーを注射することで、精巣からの自前の男性ホルモン分泌は抑制されるが、高齢になって分泌量がもともと少ないのであれば、外部から男性ホルモンを補充し、元気をもらうという考え方もあるかと思われる。

男性ホルモン補充療法を希望される方

男性ホルモン補充療法を希望される方には、男性ホルモン(FT)の血中濃度、前立腺癌マーカー(PSA)を含むアンチエイジングドックを受けていただきます。それによってより元気になられる方法を提案いたします。

エナルモンデポー125〜250mgの筋肉注射は1回3,300円です。
最初の3ヶ月は2週間に1回、それ以後は月に1回となります。3〜6ヶ月に1回は男性ホルモン(FT)やPSA、一般献血などの血液検査を自費でいたします。検査料は約1万円以内です。

2022年から日本メンズヘルス学会が認定するテストステロン治療は、学会が提携する調剤薬局でテストステロン軟膏を自費診療で処方できるようになりました。今までテストステロン軟膏は海外から輸入していましたが、やっと男性ホルモン補充療法に国内のテストステロン軟膏が使えるようになりました。

テストステロン軟膏(5%、20g)1本は12,100円で、この他に当クリニックでは診察料4,950円、処方料1,650円がかかります。3〜6ヶ月に1回は男性ホルモン(FT)やPSA、一般献血などの血液検査を自費でいたします。検査料は約1万円以内です。

男性ホルモン補充療法(ART)の副作用について

前立腺癌には禁忌です。副作用として、量が多い場合は、精子減少、ニキビ、多血症、肝障害、凝固能亢進がおこることがあるので、定期的な採血検査が必要です。

男性更年期・男性加齢性線機能低下症候群(LOH症候群)の血液検査について

LH

脳の下垂体前葉から分泌されるホルモンで、男性では間質細胞刺激ホルモンとよばれます。

精巣の間質細胞を刺激し、男性ホルモン(テストステロン)の分泌を促進し、二次的に精巣や前立腺の発育に作用します。性腺機能低下、腎不全、下垂体腫瘍などではLHが高値になります。

FSH

脳の下垂体前葉から分泌されるホルモンで、男性では精子形成ホルモンとよばれます

精巣の間質細胞を刺激して精子成熟、精細管の発育を促進します。性腺機能低下、腎不全、下垂体腫瘍などではFSHが高値になります。

コルチゾール

副腎皮質ホルモンで、ストレスホルモンとよばれています。

精神的・肉体的なストレスがかかると高値となります。ストレスが慢性に経過すると、コルチゾールはインスリン抵抗性や内蔵肥満を増悪し、血圧を上昇、血管病変のリスクを高めます。

高値の場合、ストレス・マネジメントが必要です。ストレスを元から回避する、ストレスと感じる出来事を前向きにとらえる、親しい人に話を聞いてもらってストレスを軽減する、リラクゼーションを工夫する、などが考えられます。ストレスによるダメージを受けたら、睡眠、休養を十分にとることが回復の早道です。回復が不十分な内に、ストレス負荷が再びかかると、睡眠の質が低下し、ダメージの回復が遅れ、悪循環に陥ります。9以下が最適値です。

DHEA-S

DHEAは第2の男性ホルモンとよばれ、副腎皮質から分泌されるホルモンです。

男性ホルモン作用はテストステロンの約5%です。DHEAはDHEA-Sと連動して変動するので、DHEA-Sを一般的に測定します。加齢によって低下し、老化の指標とも考えられています。高いほど長寿で、長寿ホルモンあるいは若返りホルモンとよばれています。

DHEAから男性ホルモン・女性ホルモンなど、50種類以上のホルモンがつくられます。その作用には、抗糖尿病、インスリン抵抗性の改善、抗肥満、抗動脈硬化、免疫機能改善、腫瘍増殖抑制、痴呆の予防、健康度の改善、などがあります。この他に、免疫力やストレスに対する抵抗力を維持し、脂質異常症、高血圧、骨粗鬆症などにも予防的に作用します。

最適値は200〜350です。女性は250を、男性は300を目標値とします。低い場合は、運動、体重の適正化、DHEA補充などを考慮します。低値の場合、「冷え性」「むくみ」などと関係します。DHEA補充にてIGF-1も増加することが報告されています。

エストラジオール

卵巣から分泌される女性ホルモンです。

女性の性機能の他に、脂質や糖代謝をはじめ、骨、肝、脳、血管などの機能にも関係します。更年期以降低下しはじめ、閉経後はかなり低値となります。このために性機能以外の機能も低下し、女性の老化に拍車がかかり、長期的には骨粗鬆症、動脈硬化、アルツハイマー病の発症にも関係します。

月経周期で値は変動しますが、女性は40〜100、男性は20〜50が目安です。

IGF-1

成長ホルモン(GH)の作用は、IGF-1(インスリン様成長因子-1)を介して発揮されます。GHは変動が大きいので、IGF-1として測定します。

GH分泌は青年期以降、加齢とともに減少し、筋肉量の減少、筋力や運動能の低下、骨量の低下、内臓脂肪の蓄積に関係します。規則正しい生活習慣、運動(とくにレジスタンス運動)、質の高い睡眠、適正量のタンパク・アミノ酸摂取、などで増加します。また、ストレスや炭水化物の過剰摂取をさけることでも増加します。

150以上はほしいところです。250〜350が最適値です。若さと健康を保つためにはIGF-1の低下を防ぐことが必要です。

PSA(男性)

前立腺癌の腫瘍マーカーです。健常者は0.1以下です。4以上になると癌の疑いがあります。

フリーテストステロン(男性)

精巣から分泌される男性ホルモンです。

40歳頃から徐々に低下し、性的能力の低下、抑うつ気分、骨量の低下、筋肉量の低下、などに関係します。12以上は健常値、12〜8は少し低め、8〜4はかなり低め、4以下は非常に低い、ということになります。8.5以下は補充療法を考慮します

男性更年期診療(LOH)を行っています