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アンチエイジング情報TIPS
アンチエイジング情報TIPS
2023.09.05
腸内を善玉菌が優勢な環境にすることが大切な事はよく知られています。ビフィズス菌は、ヒトの腸内で特に優位で腸内細菌叢への影響も大きいとされています。今回はビフィズス菌の有用性を、乳酸菌と異なる点も合わせて紹介します。
健康な腸内細菌とは、ビフィズス菌・乳酸菌などの善玉菌が優勢な状態です。善玉菌が産み出す乳酸・酢酸などが腸内を酸性に保ち、食中毒菌や病原菌による感染の予防、発がん性をもつ腐敗物の産生抑制、免疫力向上、ビタミンB群の産生などに寄与しています。
ビフィズス菌はヒトの大腸に最も多く住んでいる善玉菌で、大腸内のビフィズス菌の数は乳酸菌の約100倍と言われています。ビフィズス菌はエサである糖を分解すると乳酸だけでなく酢酸(短鎖脂肪酸)も産生します。
短鎖脂肪酸の代表的な働きは以下のとおりです。
60代以降の方のビフィズス菌は年齢とともに減少する一方、大腸菌などが加齢とともに増加するといわれています。摂取したビフィズス菌が腸内で定着する事は少ないようですが、腸内を通過しながら良い働きをすると考えられることから、継続して摂取することが大切です。
乳酸菌も乳酸を産生する善玉菌ですが、ビフィズス菌と乳酸菌は分類学的にはまったく異なる菌です。
スギ花粉症をもつ12名に対し、ビフィズス菌(B.longum)500億個/日を4週間にわたって2回/日摂取したところ、スコアが有意に減少した。また、スギ花粉曝露後の遅発性症状を評価したところ、普段の活動における妨害スコアが有意に低かった(Jin Zhong Xiao et al., Allergol Int. 2007 Mar;56(1):67-75)。
健康な成人12名に対し、ビフィズス菌(B.longum)を20億個、もしくは200億個を含む牛乳200mLを7日間摂取したところ、ともに糞便中アンモニア含量、一部の腐敗産物生成酵素活性が有意に低下し、糞便中のビフィズス菌占有率、水分含量の増加がみられた(Tomohiro Ogata et al., Bioscience Microflora Vol. 16 (2), 53-58, 1997)。
高齢者27名(平均年齢86.7歳)にビフィズス菌(B.longum)1,000億個/日を5週間摂取(3週目にインフルエンザワクチン摂取)したところ、インフルエンザに罹患した割合、発熱した割合ともにプラセボより有意に低かった。NK細胞活性および好中球の殺菌活性は摂取後5週目で有意に高くなった(Kazuyoshi Namba el al., J Alzheimers Dis. 2020; 77(1): 139–147)。
軽度から中等症の潰瘍性大腸炎患者28名に対し、ビフィズス菌(B.longum)2,000億個~3,000億個/日を8週間摂取したところ、ビフィズス菌摂取群の63%が8週目に疾患活動性スコア(UCDI)の有意な低下がみられた(Hiroyuki Tamaki et al. Digestive Endoscopy2016;28:67–74)。
軽度認知障害をもつ患者(50~79歳、79名)に対し、ビフィズス菌(B.breve)200億個/日を16週間摂取したところ、RBANS(日本語版神経心理テスト)/JMCIS(日本語版MCIスクリーンテスト)の合計スコアが有意に改善され、とくに前者では即時記憶、視空間/構造スコア、遅延記憶が有意に改善した(Jin Zhong Xiao et al., J Alzheimers Dis. 2020; 77(1): 139–147)。
成人80名に対し、ビフィズス菌(B.breve)200億個入りカプセルを12週間摂取したところ、内臓脂肪面積で変化はみられなかったが、体脂肪量と体脂肪率は、8週目と12週目で有意に低くなった(Junichi Minami et al., Biosci Microbiota Food Health. 2018; 37(3): 67–75)。
ミルクアレルギーによるアトピー性皮膚炎の乳児15名に対し、ビフィズス菌(B.breve)を50億個/日または150億個/日(50億個×3回)摂取したところ、腸内のビフィズス菌の占有率が高くなり、アトピー性皮膚炎の症状が緩和された。(服部和裕, アレルギー52(1), 20-30, 2003)。
【参考】
BMC Microbiology volume 16(2016)、e-ヘルスネット、厚生労働省,森永乳業のビフィズス菌冊子(2017.05版)人の健康は腸内細菌で決まる!光岡知足著(技術評論社)
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