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認知症になりやすい生活習慣

2021.01.12

日本では認知症患者が年々増加しています。根本的な治療法は確立されていないため、一人ひとりの予防が大切だと考えられています。今回はどのような生活習慣が認知症になりやすいのか、をご紹介します。

生活習慣で認知症を避けられる!?

認知症の原因は様々ですが、大きな原因のひとつに「生活習慣」が挙げられます。

以下、認知症に関連する生活習慣について「食事」「飲酒」「運動」「喫煙」「その他」の項目に分けて説明します。

食事

個々の栄養素単位では認知症に対する確定的な結果は 得られていませんが、認知症の人は、ビタミンD、ビタミンE、葉酸、ビタミンB12、ビタミンCなどの栄養素が低下する傾向にあります。また、炭水化物を主とする高カロリーな食事や低タンパク質食および低脂肪食は、軽度認知障害(MCI)や認知症のリスクを高めると考えられています。例えば、ソーセージや塩漬け肉などの加工肉 とじゃがいもなどのデンプン質の食品、アルコール、スナック菓子(クッキー、ケーキなど)の組み合わせを食べた人々は、多様でより健康的な食品を食べた人々よりも、認知症を発症する可能性が高いことが報告されており(Cécilia Samieri et al., Neurology. 2020 May 12; 94(19): e2014-e2025.)、どの食品を食べるかだけでなく、何を一緒に 食べるかも重要である可能性が高いと言えます。

糖尿病のある高齢者は、高血糖状態が長く続くことで 認知機能が低下しやすく、もともと軽度の認知障害が ある人では、症状が進んで認知症を発症しやすくなると 言われています。そのため、血糖値を安定させるような 食事内容や食べ方も認知症予防にはとても重要です。

飲酒

大量の飲酒は認知症リスクを高めます。これは、アルコール代謝でビタミンB1の消費が増え、ビタミンB1欠乏症のウェルニッケ・コルサコフ症候群によるものという意見があります。一方、適度な飲酒には認知症予防効果があるという報告(Ruiyuan Zhang et al., JAMA Netw Open. 2020 Jun 1;3(6): e207922.)もあり、赤ワインには認知機能低下の予防的効果があるとも言われます。ただし、適度な飲酒量には個人差があるので、注意が必要です。飲酒ができない人は無理に飲まないようにしましょう。

運動

運動不足は筋力低下を引き起こすことでフレイル(虚弱)をもたらします。フレイルな高齢者は認知機能が低下しやすく、特に血管性認知症になりやすいと言われています。また、認知症になるとフレイルが改善する人の割合は低く、進行する人の割合は認知症の程度が進むほど高くなる、すなわち、認知機能低下が進むほど身体的フレイルが進みやすいという悪循環が起きてしまいます。

運動を含む身体活動の習慣化が認知症や認知機能低下を予防するか?、まだ結論が出ていませんが、運動の副次的効果として得られる「社会活動の改善」も認知機能に関与している可能性があります。

喫煙

日本人を対象とした疫学調査で、長期にわたる喫煙は認知症の危険因子であることが示されています(Tomoyuki Ohara et al., J Am Geriatr Soc. 2015 Nov; 63(11): 2332-9.)。老年期であっても禁煙によって認知症リスクが低下することが示唆されており、禁煙は年をとってからでも認知症対策として有益である可能性があります。

その他

高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病にかかっている人は脳卒中のリスクが高く、脳卒中が原因となる血管性認知症を起こしやすくなるとされています。また、中年期の肥満の他、過体重や肥満の人において、高齢期に急激にBMIが減少すると認知症リスクが高くなることが分かっています。

教育歴と認知症の関係の調査によると、教育歴が短いと認知症になりやすいことが知られています。高齢期であっても、読書などの知的な活動によって認知機能の低下を抑制できる可能性があり、高齢期における生涯学習や社会参加を通じた知的な活動が認知症予防に重要であると言えそうです。

【参考】厚生労働省知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス総合サイト、厚生労働省サイト、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所リンク・デ・ダイエット世界の最新健康・栄養ニュース、国立国際医療研究センター糖尿病情報センターサイト、厚生労働省e-ヘルスネット、熊谷秋三・陳三妹認知神経科学Vol.17 No.3・4(2015) 141-143、神﨑恒一et al.,日本内科学会雑誌107巻9号1702-1707、Nobue Nakahori et al., BMC Geriatr. 2018 Apr 27; 18(1): 102.

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