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あぶら(油脂、脂肪酸)について2

2014.01.10

以前の回では、脂質や脂肪酸についてご紹介させて頂きました。今回は、機能性の注目されている多価不飽和脂肪酸と、逆に健康リスクが懸念されているトランス脂肪酸についてご紹介します。

多価不飽和脂肪酸(PUFA)とは

多価不飽和脂肪酸は二重結合の場所で、オメガ3系、6系、9系の脂肪酸に分けられます。多価不飽和脂肪酸は、複数の二重結合を持つことから酸化・劣化しやすく、サプリメントに加工する際にも酸化防止の工夫は欠かせません。オメガ3系脂肪酸は、n-3系脂肪酸とも言います。n-3とは脂肪酸のメチル端末から3個目の炭素に二重結合がある脂肪酸の事で、n-6は6個目、n-9は9個目に二重結合がある脂肪酸の事です。

オメガ3系脂肪酸(n-3系脂肪酸)

オメガ3系脂肪酸には、亜麻仁油やシソ油に多く含まれるα-リノレン酸、魚類に多く含まれるEPAやDHAなどがあり、生活習慣病の予防に役立つ様々な働きとして、中性脂肪の低下、不整脈の発生防止、血管内皮細胞の機能改善、抗血栓作用、アトピーやアレルギー症状の改善などが期待されています。

なかでも、最近、EPAやDHAを摂取することで心筋梗塞になるリスクが減ることがわかってきたことから、厚生労働省でも1日1g以上摂ることを推奨しています。

日本人が摂取するオメガ3系脂肪酸のうちの約60%がα-リノレン酸と言われており、体内に入ったα-リノレン酸は一部がEPAやDHAに変換されるとされていますが、その変換量はわずかと言われています。そのため、EPAやDHAの効果を期待する場合には、魚油などからEPA、DHAの形で摂取する方が効果的です。

オメガ6系脂肪酸(n-6系脂肪酸)

オメガ6系脂肪酸には、リノール酸やγ-リノレン酸、アラキドン酸などがあり、日本人が摂取するオメガ6系脂肪酸の多くはリノール酸(大豆油、コーン油、サフラワー油等)やアラキドン酸(肉、卵等)です。

一般的に、現代の食生活ではオメガ6系脂肪酸の摂取が増えており、特にリノール酸の過剰摂取により、血清コレステロールとともにHDLコレステロールも同時に下げてしまうことや、代謝産物のアラキドン酸を増加させて炎症性の生理活性物質を増やし、アレルギー反応を悪化させること、過酸化脂質を増加させることなどが懸念されています。

そのため、最近では、オメガ6系脂肪酸の摂取が過剰にならないよう、注意が必要と考えられています。

トランス脂肪酸について

脂肪酸には、2013年11月、アメリカ食品医薬品局(FDA)が安全性を否定したことで改めて注目を浴びた「トランス脂肪酸」があります。

不飽和脂肪酸には炭素の二重結合部周辺の構造の違いによって「シス型」と「トランス型※」があり、トランス型の二重結合が一つ以上ある不飽和脂肪酸をまとめて「トランス脂肪酸」と呼んでいます。一方、天然の不飽和脂肪酸のほとんどはシス型です。
※脂肪酸の場合では水素原子が炭素の二重結合をはさんでそれぞれ反対側についている。

トランス脂肪酸には、天然の食品中に含まれているものもありますが、近年、特に問題になっているのは「油脂の加工・精製によってできるもの」です。具体的には、常温では液体の植物油や魚油から固形の油脂を製造する加工技術の一つである「水素添加」によってトランス脂肪酸が生成します。そのため、そのような工程で製造されるマーガリンやショートニング、また、それらを材料に使用しているパンやお菓子等にトランス脂肪酸が含まれています。

トランス脂肪酸への注意喚起

トランス脂肪酸を過剰に摂取した場合の健康への悪影響について諸外国では、冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)を増加させる可能性、肥満、アレルギー性疾患(喘息、アレルギー性鼻炎等)について関連性、妊産婦、胎児への影響(胎児の体重減少、流産等)などが報告されています。これらの研究の多くはトランス脂肪酸の摂取量が多い欧米人を対象としたもので、日本人でも同じ影響があるかどうかは明らかではないとも言われています。しかし、加工食品の利用が増加し、食の欧米化が進んでいる現代では、やはり注意が必要です。

海外の先進国の多くはトランス脂肪酸を含めた脂質の過剰摂取について注意喚起を行っており、加工食品に対し、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸などの含有量の表示の義務付けや食用油脂に含まれるトランス脂肪酸の上限値の設定をしている国もあります。

食生活で気をつけること

今の日本で普通に生活する以上、トランス脂肪酸と無縁でいることは不可能です。しかし、商品に書かれている原材料表示をよく見て、「マーガリン」や「ショートニング」と書かれたものを摂らないなど、自身の選択によって摂取量を減らすことは可能です。

【参考】イラストレイテッドハーパー・生化学, 農林水産省ホームページ

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