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アンチエイジング情報TIPS
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2014.06.02
日本でも女性の働く機会がますます増える中、「月経困難症」と呼ばれ、日常生活を営むことも困難であると訴える女性が増加していると言われています。今回は、月経困難症の実態と栄養学的アプローチをご紹介します。
月経困難症とは、月経時またはその直前から強い下腹部痛や腰痛が始まり、月経期間中に日常生活を送ることが困難になる状態を指します。
PMS(月経前症候群:Premenstrual Syndrome)の症状は月経が始まると同時に消失しますが、月経困難症は月経が始まっても症状が続くのが特徴です。
2004年の調査では、16〜50歳未満の女性1,906名のうち、28.6%の女性に強い月経痛があると報告されています(女性労働協会:働く女性の健康に関する実態調査)。
鎮痛剤を服用しても会社を休むほどひどい | 2.8% |
鎮痛剤を服用すれば仕事ができる | 25.8% |
月経痛はあるが我慢できる | 47.9% |
月経困難症は、原発性月経困難症(Primary Dysmenorrhea)と続発性月経困難症(Secondary Dysmenorrhea)の2種類に分類されます。
原発性月経困難症は、子宮収縮を促すプロスタグランジンF2α(PGF2α)の多量分泌が主な原因で、思春期から発症の可能性があると言われる一方、続発性月経困難症は成人から始まると言われ、潜在的な骨盤内の異常(子宮内膜症、子宮筋腫など)が症状を悪化させる原因であると考えられています。
月経困難症の疼痛緩和には、アスピリン、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を利用する方法があります。これらは、PGF2α生成を抑制する働き (PGF2αを生成するための酵素であるCOX-1の阻害)がありますが、PGF2αは完全に悪者というわけではなく、子宮収縮を促し子宮内膜を経血として体外に排出させるという非常に重要な生理活性物質でもあります。
PGF2αはストレスなどでも増えるため、月経時に分泌されるPGF2αや骨盤内の異常に起因するものと合わせて多量なPGF2αが体内に存在することが原因で、月経困難症の症状が現れると考えられています。NSAIDsの服用は疼痛緩和には効果がありますが、体内でのPGF2α生成調節が狂ってしまうことが懸念されます。
その他OC錠(低容量ピル)と呼ばれる女性ホルモン製剤によってホルモンバランスを調節する薬剤も使用されますが、まれに副作用として血栓症が現れることがあり、重篤な血栓症を患わった方もおられるため、本年1月に厚生労働省から注意喚起が行われています。
月経困難症と栄養素の関連については、主に原発性月経困難症について調べられてきましたので、今回は原発性月経困難症に効果的なアプローチをご紹介します。
【参考】メルクマニュアル18版、日本産婦人科学会雑誌59巻N454-460、厚生労働省:医薬医療機器等安全情報 No.310、Gaby: Nutritional Medicine、Horphag資料
2014.05ヘルシーパス提供