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糖尿病性骨粗鬆症について

2015.01.26

糖尿病で特に問題なのは糖尿病性網膜症、糖尿病性腎障害、糖尿病性神経障害の3大合併症と言われていますが、近年、「糖尿病性骨粗鬆症」も問題視されています。今回は糖尿病性骨粗鬆症についてご紹介します。

糖尿病性骨粗鬆症とは?

骨粗鬆症とは、骨量が減少したり骨がもろくなり、わずかな衝撃でも骨折しやすくなる病気です。一般的に、骨は加齢に伴って弱くなっていきますが、糖尿病の人ではそのスピードが速く、糖尿病でない人の2〜4倍も骨折しやすいと言われており、糖尿病が原因で起こる骨粗鬆症を「糖尿病性骨粗鬆症」と呼び、骨密度が正常でも骨折しやすくなると言われています。

原因

糖尿病によって骨粗鬆症が起きやすくなる原因は、大きく分類すると以下の3点が考えられます。

(1)コラーゲンの質の低下

はコラーゲン繊維にカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが付着した構造をしており、建物に例えると鉄筋がコラーゲンで、コンクリートはカルシウムなどのミネラルに当てはめることができます。骨の断面積の50%をコラーゲンが占めているとされています。

通常、骨のコラーゲンは①のようなコラーゲン架橋(生理的架橋)と呼ばれる構造をしていますが、糖化や酸化などによって②の様にコラーゲンに無秩序な架橋(非生理的架橋)が形成すると、骨のしなやかさが失われて骨の強度が低下します。

生理的架橋

(2)インスリン作用の低下

成人の骨は一見成長が止まっているように見えますが、骨芽細胞による骨形成と、破骨細胞による骨吸収が繰り返し行われることで常に新鮮な骨が維持されています。

骨芽細胞にはインスリン受容体が存在し、インスリンが結合することで骨芽細胞が増殖しますが、糖尿病でインスリン抵抗性があると骨芽細胞の受容体にインスリンが結合しにくくなり、骨芽細胞の増殖が抑えられ、骨形成が正常に行われないために骨量が減少してしまいます。

(3)糖質コルチコイドの分泌増加

糖質コルチコイドは主に副腎から分泌されるステロイドホルモンで、肝臓における糖新生を促進させますが、脂肪組織からも分泌されます。そのため、肥満(脂肪蓄積)を伴う2型糖尿病では糖質コルチコイドの分泌が多くなり、インスリンの働きを抑制するためグルコースを利用しにくくなる場合が多くなります。糖質コルチコイドの分泌が増加すると、骨芽細胞よりも脂肪細胞がつくられやすくなるだけでなく、骨吸収をする破骨細胞が増殖して骨量が減少しやすくなってしまうことが分かっています。

対策

糖尿病性骨粗鬆症の予防には「糖化対策」が重要です。

食事

バランスの良い食事でビタミン、ミネラルを十分に補給し、血糖値を急激に上げないようにすることが大切です。

ご飯やパンなどの炭水化物や菓子類、清涼飲料水などを大量に摂取しないように気をつけ、食事の順番を懐石料理のように、①野菜・海藻など(食物繊維)→②肉・魚・大豆製品など(タンパク質)→③ご飯・パンなど(炭水化物)にすることもお勧めです。

運動

血液中の糖は運動によって消費されます。忙しくて運動する時間がとれない場合は、エスカレーターやエレベーターではなく階段を利用したり、自転車での移動を徒歩にするなどで運動量を少しずつ増やすことが大切です。

休養

睡眠不足は体にとって大きなストレスとなり、肥満と関連することが分かっています。質の良い十分な睡眠を心掛け、ストレスを解消しましょう。

【参考】独立行政法人国立病院機構ホームページ・国立大学法人滋賀医科大学ホームページ・九州大学歯学研究院歯学府歯学部ホームページ・アークレイ株式会社ホームページ・イラストレイテッドハーパー・生化学 [原書29版]・骨と骨代謝2008 Vol.21 No.4 325-334・Jpn. J. Clin. Immunol., 34(3)138-148 (2011)

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