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アンチエイジング情報TIPS
アンチエイジング情報TIPS
2015.06.29
最近、腸内細菌叢が及ぼす作用を話題にしたマスコミの報道が増え多くの方がその働きに関心を持つようになってきました。今回は腸内細菌叢のなかでも特に重要なビフィズス菌の有用性をご紹介します。
ビフィズス菌(Bifidobacterium)は1899年に赤ちゃんの腸内から発見されて以降、その研究は今でも続いています。雑誌や新聞の広告ではヨーグルトやサプリメント等、有効性を訴える菌の名前が次々に登場していますが、それらの菌がもともとヒトのお腹の中に棲んでいるとは限りません。
ビフィズス菌は赤ちゃんがお母さんの産道を通る時に受け渡され、赤ちゃんの感染症やアレルギーを防いだり、食べ物の吸収を助け、更に必要な栄養素(ビタミンB1、葉酸等)を作り出す重要な働きをしています。
最近の研究では、ビフィズス菌はお母さんの母乳を介して赤ちゃんに移行することも分かってきており、母乳の大切さが再認識されています。
腸内細菌叢の年齢変化を調べた結果、60代以降の方のビフィズス菌の割合は年々減少し、それに伴い大腸菌を含む菌類の割合が大幅に増加していることがわかりました。加齢に伴う症状の多くは未だ科学的に不明な点が多いのですが、腸内細菌叢の変化が原因との仮説に基づいた研究が進められています。腸内細菌叢は、加齢の他にも精神ストレス、食生活によっても変化することがわかっています。そのため、食品としてビフィズス菌を摂取し、腸内環境を整えることが有効と考えられています。摂取したビフィズス菌が腸内で定着する事は少ないようですが、腸内を通過しながら良い働きをすると考えられることから、継続して摂取することが大切です。
ビフィズス菌には多くの種類があり、ヒトの腸内のみに棲息する菌、動物の腸内のみに棲息する菌がいます。更に、ヒトの成人と乳児のどちらにも棲息する菌がいる一方、乳児だけに棲息するものもいます。なぜ菌種ごとに棲息する場所が違うのか、その理由はまだ解明されていません。
棲息場所 | 主なビフィズス菌の菌種 |
ヒト 乳児 | ブレーべ(B.breve) インファンティス(B.longum ssp.Infantis) ビフィダム(B.bifidum) |
ヒト 乳児・成人 | ロンガム(B.longum ssp.longum) |
ヒト 成人 | アドルスセンティス(B.adolescentis) シュードカテヌラタム(B.pseudocatenulatum) |
動物(主に豚、 ネズミ、昆虫等) |
アニマリス(B.animalis ssp.animalis) ラクティス(B.animalis ssp.lactis) |
この他、ヒトの口腔内からデンティアム(B.dentium)という菌も見つかっています。
海外のビフィズス菌含有食品の多くは工業的な理由等から動物由来のビフィズス菌が使われており、その有効性はヒト試験でも認められています。
しかし、ヒトの乳児由来のビフィズス菌は母乳に含まれるヒトミルクオリゴ糖をエサに増殖することが可能で、更に母乳中の抗菌成分(リゾチーム)に対しても耐性を示します。このように、ヒト乳児由来のビフィズス菌には特に有用性のあることがわかってきています。
乳酸菌は「乳酸」を多く産生する菌の総称です。一方、ビフィズス菌も乳酸を産生しますが、乳酸よりも「酢酸」を多く産生します。
ビフィズス菌 | 乳酸菌 | |
棲息場所 | ヒトや動物の腸管(主に大腸) | 自然界一般 (植物、土壌中、腸管内等) |
酸素 | 苦手▲ | 得意● |
代謝産物 | 酢酸>乳酸 | 乳酸(>50%) |
酢酸には大腸菌の増殖を抑える働きや、O-157感染防御作用、抗炎症作用、腸管バリア機能改善作用等の有効性が確認されています。
【参考】森永乳業(株)資料、J Life Sci Res 2014;12:25-28
2015.04ヘルシーパス提供