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認知機能に役立つ栄養素

2015.11.26

2010年時点での国内認知症高齢者数(※)は280万人と報告されていますが、2020年には410万人にまで増加すると予想されています。今回は、世界的な疾患として注目される認知機能に役立つ栄養素についてご紹介します。

※日常生活自立度II以上の65歳以上の高齢者数

2013年12月にロンドンで初めて「G8認知症サミット」が開催され、認知症対策についての「共同声明」が合意されました。認知症の進行を2年遅延させることで、2050年の疾病の世界的負担を2280万症例減ることが推定されているなど、認知症対策の重要性が再確認され、2025年までに治療法を見出す、との目標が設定されました。今後さらに調査研究が進められるなど急速な進歩が期待される分野です。

認知症とは

認知症とは、脳細胞になんらかの障害が起こり、生活に支障を来たす状態(記憶・判断力の障害)が約半年以上継続される状態を指します。時間の感覚や季節感の薄れ、家族の生死などの記憶がなくなるなどの症状や、うつ状態、妄想、徘徊などの問題が挙がっています。

認知症は原因により大きく2種類に分類されています。

  1. 変性疾患…脳神経細胞が減少し脳が萎縮する
    例)アルツハイマー病、前頭・側頭型認知症、レビー小体病
  2. 脳血管性認知症…血管が詰まり脳神経細胞が減少

認知症予備軍はさらに多い

2010年度の厚生労働省の報告によると、65歳以上の高齢者のうち、約13%(約380万人)が軽度認知症だと考えられています。軽度認知症患者では年間10〜15%の人が認知症に移行するとされており、65歳未満が対象となる若年性認知症での有病者の8割超は50歳以上と、今後認知症患者はますます増え続けると予想されています。

認知機能と栄養素

アルツハイマー病や脳血管性認知症は、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病と関連があると言われており、生活習慣、食事内容の見直しが重要視されつつあります。科学的に効果が示唆されている栄養素は次の通りです。

ビタミンE

アルツハイマー病患者のビタミンE摂取による介入試験では、1日2,000IUのビタミンE(dl-トコフェロール)摂取2年間で、プラセボ群、MAO-B選択的阻害剤摂取群:モノアミン酸化酵素B阻害剤(国内ではパーキンソン病治療に用いられる)よりも認知症の進行を遅くしたとの報告があります(N Eng J Med.1997;336(17):1216-1222)

また、2014年に発表された二重盲検試験結果でも、ビタミンEを2,000IU摂取した群の認知機能低下遅延が確認されたとのことです(JAMA.2014;311(1):33-44)

ホスファチジルコリン

神経伝達物質のひとつであるアセチルコリンの原料となるコリン(ホスファチジルコリンが脳細胞で分解して得られる)を補充することで認知機能が改善したとの報告があります。認知機能スコア(MMSE)が、認知症と診断される平均18点の治験者67名が、オレイン酸とパルミチン酸という脂肪酸が結合したPOホスファチジルコリンを1日300mg、6か月間摂取した結果、1か月後には摂取群全員が平均20点以上になり、非摂取者の点数は低下していきました(Behavioural BrainResearch.2009;204:129-132)

葉酸

血中ホモシステイン値が上昇することにより、アルツハイマー病の原因のひとつと言われる脳神経細胞内のタウタンパク質が重合促進をきたし、病態が進行すると考えられています(福井大学トランスレーショナルリサーチ推進センター平成23年度公募採択型研究費「学内共同研究等」)。

実際に、818名を対象に行われた二重盲検試験では、ホモシステインの代謝に関わる葉酸を1日800μg、3年間摂取した群の認知機能の改善とホモシステイン値の減少が認められました(Lancet.2007;369(9557):208-216)

ホモシステインの代謝には、葉酸の他にもビタミンB12、ビタミンB6の補給も役立つと考えられています。

【参考】厚生労働省HP、国立健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報、A.Gaby: Nutritional Medicine

2014.01ヘルシーパス提供

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