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ケトン体ってどんなもの?

2016.05.18

近年、ココナッツオイルや糖質制限が流行しており「ケトン体」に注目が集まっています。そもそもケトン体とはどのようなものなのか、今回はケトン体の働きと血中濃度モニタリングの重要性についてご紹介します。

ケトン体とは?

カルボニル基(>C=O)と2個の炭化水素(R-)が結合した化合物の総称で、一般式ではR-C=O-R'で表記されます。体内に存在するケトン体にはアセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸、アセトンなどがあります。

ケトン体は脂肪の合成や分解における中間代謝産物であるため、通常、血液中にはほとんど存在しませんが、糖尿病や糖質制限、絶食など、脳や筋肉のエネルギー源である糖質(グルコース)が利用できない時に代わりのエネルギー源として使われます。

ケトン体

脂肪酸とケトン体

何らかの理由で体内のグルコース供給が減少すると、血糖値を維持するために肝臓に蓄えられているグリコーゲンがグルコースに分解され、利用されます。しかし、肝臓のグリコーゲンは18〜24時間程度で枯渇してしまうため、グルコースが枯渇すると次に筋肉(タンパク質)や脂肪細胞に蓄えられている脂肪(脂肪酸)がエネルギー源となります。

脂肪酸がケトン体となって働くまでの流れは以下の通りです。

  1. 脂肪細胞に蓄えられている中性脂肪はそのままの形ではエネルギー源として利用できないため、中性脂肪から脂肪酸が切り離されて血液中のアルブミンと結合し、肝臓に運ばれる。
  2. 肝細胞に脂肪酸が取り込まれると、カルニチンシャトルと呼ばれる入口からミトコンドリア内に入り、アセチルCoAにまで分解される(β酸化)。
  3. アセチルCoAからケトン体であるアセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸が作られ、肝臓から放出されて血流にのり、筋肉や脳のエネルギー源として利用される。

ケトン体をエネルギー源にすることで、筋肉の分解を抑えることができます。ココナッツオイルに多く含まれる炭素数8〜12の中鎖脂肪酸(MCT)は、鎖長が短く溶解度が高いため腸管で吸収されやすく、長鎖脂肪酸のように腸管膜内で中性脂肪へ再合成されることなくアルブミンと結合して肝臓に運ばれます。さらに、カルニチンシャトルを介さずにミトコンドリア内に入るため、ケトン体としてエネルギー源になりやすい脂肪酸であると言えます。

ケトン体2

アセト酢酸からできるアセトンもケトン体の仲間ですが、脳や筋肉のエネルギー源にはならずに呼気から排泄されます。アセトンを含む呼気は甘いフルーツが腐ったような匂いがします。

ケトン体が増えると危険なのか?

体内のケトン体が増えた状態を表す言葉に「ケトーシス」と「ケトアシドーシス」がありますが、これらは異なる症状のことです。ケトーシスとは、血液中の総ケトン体(アセト酢酸と3-ヒドロキシ酪酸を足したもの)が200μmol/L以上の正常範囲内で増えた状態です。絶食や糖質制限などでケトーシスになることがありますが、生理的な現象であるためそれほど問題になることはないと考えられています。一方、ケトアシドーシスとは糖尿病(ペットボトル症候群)や脱水によって総ケトン体が7,000μmol/L以上となり、脱水症状や意識障害などに陥り、ひどい場合には死に至る危険な状態です。血液中の総ケトン体量が多い場合には、糖質を摂っていないためにケトーシスになっているのか、糖質を摂っているのにインスリンが働かずケトアシドーシスになっているのかを見極める必要があります。そして、長期間に及ぶ厳格な糖質制限や断食をする場合には、脱水に注意して水分をしっかり摂り、体内のケトン体量をモニタリングすることが重要です。

【参考】イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書29版、栄養学と食事療法大辞典(ガイアブックス)、国立健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報、一目でわかる代謝第2版(メディカル・サイエンス・ニュートリション)、厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業先天性ケトン体代謝異常症サイト

2016.04ヘルシーパス提供

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