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酸化した油は病気の原因になる?

2016.06.02

健康のためにと摂っていたαリノレン酸やDHA、EPAといった不飽和脂肪酸ですが、実は酸化され劣化しやすい油です。今回は、酸化した油は体に悪影響を及ぼし病気の原因になっている事例をご紹介します。

話題の「えごま油」は酸化しやすい

2016年1月28日付、国民生活センターのプレスリリースの中で、えごま油は酸化安定性が低く、他の食用植物油脂よりも早く劣化する、との発表がありました。

えごま油に多く含まれるαリノレン酸と同様の不飽和脂肪酸であるEPAやDHAなども酸化安定性が低く、早く劣化することがわかっています。

酸化した油(過酸化脂質)は毒である

上記のえごま油のように、保存中に酸化した油は、自動酸化(Autoxidation)と呼ばれる反応によって水素が引き抜かれ、過酸化脂質(脂質ヒドロペルオキシド:L-OOH)に変化し、酸化がどんどん進行していくといわれています。

このように食品中で酸化した過酸化脂質は、大量摂取すると腸管組織を傷つけ下痢などを引き起こす非常に毒性が強いものです。摂取した過酸化脂質は、大部分が消化管で分解や還元を受け毒性は弱められますが、摂取量が多くなるとその一部(数%)は体内に吸収され、細胞の機能に異常を及ぼすといわれています。

また、過酸化脂質から変化した物質の一部(例えばケト脂肪酸)は生体内に吸収されやすく、生体内の脂質、特に膜組織を酸化させることで機能異常を来すと考えられています。

一方、生体内で生じた活性酸素やフリーラジカルなどは、生体内の脂質を酸化修飾することで食用油と同じように過酸化脂質を生成します。生体中の過酸化脂質の大部分は脂質ヒドロペルオキシドです。

大事な生体膜の酸化が危ない

生体内の脂質には、リン脂質やコレステロールがあり、中でも生体膜を構成するリン脂質の酸化変性は細胞障害と密接な関係にあります。例えば、ヒト血漿中LDLの粒子表面はリン脂質であるホスファチジルコリン(PC)で覆われています。LDL表面のリン脂質を構成する脂肪酸リノール酸やアラキドン酸などの不飽和脂肪酸が多く、血流中で血管内壁と接触することで過酸化されることから、粒子表面にあるホスファチジルコリンが酸化されやすく、その結果ホスファチジルコリンペルオキシド(PC-OOH)が生じます。

過酸化脂質は動脈硬化の原因になる

過酸化脂質が影響をおよぼす疾患の中で最も重要なのは動脈硬化です。高脂血症者の血漿PC-OOH濃度は健常者に比べ高く、年齢が上がるにしたがって更に高値を示します。酸化されたLDL(酸化LDL)中のPC-OOHは、マクロファージが取り込んで泡沫細胞化しやすく、動脈硬化巣を形成するきっかけになると考えられています。

高脂血症者の血漿中過酸化リン脂質量

認知症発症の恐れもある

認知症患者の血漿PC-OOH値は健常者と差はありませんが、赤血球膜には異常な過酸化リン脂質の蓄積が認められています。脳の脂質過酸化と認知機能との関係はまだ不明点が多くありますが、グルタチオンなどの生体内抗酸化物質の減少によって、生体膜障害が生じ脳細胞死を引き起こすと考えられています。

認知症患者の赤血球中過酸化リン脂質量

【参考】食衛誌Vol.11,No.5 1970、ネスレNutrition Review Sep,2007、脂質栄養と健康(建帛社)

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