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参加スタッフからの報告
第三回アンチエイジング臨床データ報告会に参加して

2012.8.12 山岡美智恵

2012年8月4日、5日『日本抗加齢医学会 第3回アンチエイジング医療における臨床データ報告会』然別湖にて開催されました

8月4、5日に然別湖畔のホテル風水で開かれました、「第3回抗加齢臨床データ報告会」に参加させていただきました。

報告会の4、5日前までは、帯広も気温30度以上の日が続いていたのですが、当日は曇りで少し肌寒い位でした。気温20度を少し過ぎる位で、羽田経由で来られた先生は「東京と10度以上の差があり、飛行機を降りて驚きました」と言われていました。

報告会には全国各地から様々な分野の先生たちが参加されていました。北海道から沖縄まで、まさに全国からの集まりでした。分野も内科、外科、皮膚科、形成、歯科、鍼灸師、管理栄養士、加圧トレーニングのトレーナー、看護師など多岐に渡っていました。

前もって報告会のスケジュールと参加者一覧を頂いていたので、各先生の勤務されてる病院や活動など予備知識を・・と調べてみました。すると、どの先生もアンチエイジングの教科書や医学雑誌でお名前をお見かけすら方達ばかりで、私の中で一気に報告会への敷居が高くなり正直当日を迎えるまでは不安ばかりでした。しかし、実際に始まってみると私の不安は何だったのかと言う位お話に引き込まれて行きました。各地でアンチエイジングに力を注いでいる先生達のパワーに圧倒されつつ、熱のある討論に刺激されました。

2日間で12の臨床データ報告があったのですが、その中から3例ではありますがまとめましたのでご報告します。

東京トータルライフクリニック 長屋直樹先生「軽度認知障害に対するエグノリジンの効果について」との症例をご紹介させていただきます。

長屋先生は通院困難な患者様に対し、在宅医療をされてます。

2005年日本では189万人以上の方が認知症と診断されているそうです。65歳以上10%の方が認知症を発症しているそうです。これは日本のみではなく世界的にも、大きな問題となっています。現在、認知症の発症と進行を予防する手段は確立されていないとのことです。しかし、認知症に移行する前にサプリメント、生活指導などで認知症への移行を遅らせたり予防したりすることは出来るとのことでした。

認知症は自覚的記憶障害 → 軽度認知障害 → 認知症(アルツハイマー)と移行して行きます。この軽度認知障害の段階で予防できると,認知症への移行は防げるのだそうです。認知症の予防は,脳トレ・運動・食事・サプリメントが必要とのこと。先生が紹介したサプリは「エグノリジンS」と言って、卵と大豆由来のもので、兵庫医科大学生理学教室の西岡教授が開発したものです。これを摂取した患者様の8割程度の方に効果があったとのことです。もの忘れが少なくなったり,うつ傾向の改善、学習改善効果、日常生活の拡大、日常動作の正常化など改善点が多かったそうです。

余談でありましたが、先生ご自身も飲酒前に摂取したところ、ロレツが回らなくなることが減ったそうです。そして、翌日の目覚めも良かったとのことでした。

認知症を予防すること、進行を遅らせることで患者様の生活の質が上がり、その人らしい生活を楽しみながら送れることで健康長寿を実現することに繋がるのだと感じました。


近畿大学医学部奈良病院 山田秀和先生「アンチエイジングドックにおける見た目の取り扱いについて」との症例をご紹介します。

山田先生は皮膚科ご専門の教授で抗加齢学会の理事もされています。

現代では、その人の見た目、何を計測するかによりその人の未来を予測出来るようになってきているそうです。たとえば、足の短い人はメタボになりやすく、長い人は大腸がん・乳がん・前立腺がんなどになりやすいとの論文があるそうです。その他に、顔のしわで骨粗鬆症のリスクを評価出来るとのことでした。しわの多い人は骨密度が低く、皮膚の張りのある人は骨密度が高い可能性がある。男性型脱毛症がパーキンソン病と前立腺がんになりやすい。早期発症AGA(若はげ)はインスリン抵抗性(糖尿になりやすい)があるなど、見た目から予測されることは多いそうです。
容貌(美容)は骨粗鬆症の予防が大切との言葉にも重みを感じました。

また、先生はアンチエイジングの対策は運動・食事・心が大切と話されていました。運動によりIGF-1(成長ホルモン)、DHEA-S(長寿ホルモン)を高く保て長寿に繋がる。運動は筋トレ後の有酸素運動が良い、運動することで身体の中にビタミンDが出来免疫がアップ、癌・糖尿病の予防にも繋がるそうです。食事は腹7分目、低GI食・低脂肪食に心がけ抗酸化物質の多い食事を摂る。BMIを20-22(高齢では25)に保つことが大切。心は、ストレスの解除、うつ対策、好奇心、ときめき、笑顔で過ごすことが大切とのことでした。


前橋温泉クリニック 岩波佳江子先生「地方におけるアンチエイジング複合施設の取り組み」との症例をご紹介します。

先生はお父様が整形医師で、ご自身も整形専門だったそうです。出産を機会に少し仕事をセーブしたく、また以前より関心のあったアンチエイジングをコンセプトに、生活習慣病治療、美容皮膚科を展開されました。生活習慣病治療、予防のためにダイエット指導(食事療法)、運動指導などを実施しているそうです。先生の病院の写真を見せていただきましたが4階建ての立派な建物で、1階がお父様の整形クリニックとご自身のクリニック。2階が前橋温泉と言って一般の方が利用できる施設でもあり、運動療法用に使用できる深めの浴槽を備えたリハビリにも利用できる設備が整っています。3階は湯治用、ドック用の宿泊施設。ご自身が講師もなさるフラメンコ、フラダンス、太極拳用のスタジオ。4階がお茶室だそうです。そして、病院のかたわらにはお父様が中心となってお手入れしている畑があり、無農薬の野菜を栽培しているそうです。野菜は患者様に格安で提供したり、ダイエット合宿、1泊ドックの食事に使われるそうです。

この建物そのものがアンチエイジングの基本、食事、運動、心に関連しています。先生は「いつまでも健康で若々しく人生を楽しむ」ためのお手伝いしたく生活習慣病治療の予防、骨粗鬆症の予防・改善、動脈硬化の予防などに重点を置いたそうです。

美容皮膚科では、シミの除去など外からのアンチエイジングを開始。これにより、患者様の心が明るくなったそうです。外からのアンチエイジングが内側のアンチエイジングのきっかけになれば良いとの思いだそうです。

他の先生の発表でも、心の症状が改善されたら身体の症状も改善すると言われていたものに通じるのだと思いました。そして、アンチエイジングのアプローチは様々な分野に及んでおり奥が深いのだと改めて感じました。

最後に、今回このような勉強会に参加させていただき、様々な分野の症例を聞くことが出来大変勉強になりました。そして私自身も、アンチエイジングについてもっと勉強したいという気持ちにもなり、パワーをいただける機会となりました。
今回の体験を患者様に少しでも役立てていければと思っています。

このような貴重な経験をさせていただき、北海道十勝まで足をお運び下さった諸先生、当クリニック医院長、奥様に大変感謝しています。これからも努めて参ります。 ありがとうございました。