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アンチエイジング情報TIPS
アンチエイジング情報TIPS
2024.07.30
ビタミンDは、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)と、ビタミンD3(コレカルシフェロール)の総称で、脂溶性ビタミンのひとつです。サプリメントで摂取する場合にはビタミンD2よりD3の方が優位に血中濃度(25(OH)D3)を上昇させると言われています。
ビタミンDはカルシウムの吸収や骨の恒常性維持に必要不可欠な栄養素です。環境省の行ったエコチル調査の参加者を対象に、2歳~4歳時点での身長と体重と血中ビタミンD濃度、ならびに日光ばく露に関するアンケートを実施したところ、ビタミンD欠乏のない子どもの身長は年間約8cm伸びていたのに対し、欠乏している子どもの身長は年間7.4cm程度であり、血中ビタミンD濃度と成長率の関連が明らかになりました。(倉岡祥平 et al.;Nutrients. 2022 Aug 13;14(16):3325.)
ビタミンDはビタミンでありながら、ホルモンとしての一面もあります。
ビタミンD活性化酵素は脳の視床下部や小脳などにも存在し、ビタミンD受容体は脳の帯状皮質や海馬など多くの領域のニューロンや神経膠に存在しているため、神経の調節や保護作用、脳の発達などに関与しています。
エコチル調査の詳細調査参加児を対象に、血清25(OH)D値と神経発達を測定したところ、ビタミンD欠乏群の男児において、認知やコミュニケーション発達の遅れがみられました。(Kahoko Yasumitsu-Lovell et al.;Acta Paediatr. 2024 Jan;113(1):119-126.)
最近ではビタミンDの妊孕性における役割について注目されています。
2010年から2016年の間に妊娠を望む女性522名を対象に、血液検査と妊娠の有無について調べたところ、ビタミンD欠乏のない女性と比較して、欠乏している女性では受胎能が推定45%低下しました。(A M Z Jukic et al.;Hum Reprod. 2019 Nov 1;34(11):2163-2172.)
母体ビタミンDと流産、ビタミンD治療と流産の関連を調査した無作為化試験および観察研究を対象としたシステマティックレビュー・メタアナリシスでは、ビタミンD欠乏症と診断された女性は、ビタミンDが欠乏していない女性と比較して流産のリスクが増加したことがわかりました。(Jennifer A Tamblyn et al.;Fertil Steril. 2022 Jul;118(1))
近年では、血清中のビタミンD濃度と認知機能の変化について多くの研究がすすめられています。
2002年から2010年の間に登録された外来診療所の参加者を対象とした縦断的多民族コホート研究では、肌の色が濃い人は薄い人と比較すると有意に血清中のビタミンD濃度が低いことがわかりました。また、ビタミンD欠乏のない人と比較し、ビタミンD欠乏と不足の人でエピソード記憶と実行機能が低下しており、ビタミンDは認知症対策効果が期待されています。(Joshua W.Miller et al.;JAMA Neurol. 2015;72(11):1295-1303.)
国立長寿医療研究センターが進める長期縦断疫学研究で蓄積された縦断疫学データを用いて、ビタミンD欠乏と将来的な筋力の低下およびサルコペニア罹患率について調査したところ、ビタミンD欠乏群では筋力低下が進行し、サルコペニアの新規発生数も有意に増加することがわかりました。(Takafumi Mizuno et al.;Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle)
しかし、ビタミンDの摂り過ぎは、高齢者の転倒リスクにつながるという研究結果も出ています。(Lawrence J et al.;Annals of Internal Medicine Volume 174, Number 2)
高齢者で食事の補助としてビタミンDサプリメントを摂取している場合は、主治医にご相談ください。
脂溶性の栄養素であるビタミンDは、油脂に溶けやすいので、油脂の多い料理にビタミンDを多く含む食材を使用するとより効率よく摂取することが可能です。
また、ビタミンDの活性にはビタミンB2やナイアシン、鉄、マグネシウムなども関わっていますので、ビタミンDと合わせて摂取することをおすすめいたします。
2024.07ヘルシーパス提供